前传
#250
都会から電車で数駅ほど離れた、住宅街や団地が多い町。 俗に言う、都会の喧騒から離れたベッドタウン。 都会にあるような高層ビルや大型マーケットは存在せず、一軒家やアパートが多い町並みは、どこかスローで懐かしい気持ちを思い起こさせる。 背の高い建物は駅周辺の建物か、新開発された河川敷近くのマンションぐらい。 空を見上げなくとも、自然と視界の中に空が映り込み、夕暮れ時にもなると、遠くの山や、学園へ続く坂道が赤く染まる。 太陽が時間の移り変わりを教えてくれる。 9月の下旬―― 残暑の終わりが見えてくる季節。 俺は仲間たちと一緒に暮れなずむ土手をのんびりと歩く。 仲の良い友人と過ごす、いつもと変わらない毎日。 そんな日常の帰路が、小さなきっかけで徐々に恋路へと変化する。 そのきっかけは何だったのか。 きっとそれは、普通の日常の中でいくつも散らばっている出来事。 例えばふと視線を上げ、君と目が合った瞬間。 例えば本を取ろうとして、手が触れ合った瞬間。 例えば君が、初めて笑顔を俺に向けてくれた瞬間――。 ふとした瞬間におとずれる様々な きっかけ で、俺たちの時間は彩られていく。
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