

不同演绎

#1821
今までは徒歩で10分ほどだった通学が、親戚の家に厄介になり始めてからは、片道1時間以上のローカル線での電車通学に。 うんざりしていた一太郎だったが、決して悪いことばかりではなかった。 近寄りがたい孤高の美人として有名な、 同じクラスの在田川鳰(ありたがわ にお)。 密かに憧れていた彼女を、 いつも同じ時間の同じ車両で見かけるようになったのだ。 声をかけても、最初はつれない反応ばかりだったけれど……。 ある日、駅のホームのベンチで倒れていたところを助けてから、 少しずつ彼女の態度が変わってくる。 「さん付けとか、いらないから」 ふたりを乗せた電車が進むように、ふたりの仲もどんどん進む。 ……だけど彼女は認めない。自分は、あんたの彼女じゃない。 そう言いながら、真っ赤になって蕩けているくせに。 電車は必ず、目的地に着く。 ふたりの仲は、果たして……。

#1820
神社が最近『破局のご利益』で変に有名になってしまい、 巫女である宮司の娘・紫月八千代も大忙し。 一太郎はしばらく居候させてもらうことになった手前、 そんな幼なじみの彼女を手伝うことに。 そのうちに、一太郎は気づく。 八千代は親の言うことを素直に聞き、毎日巫女の仕事を努めているけれど……。 彼女はお守りのことも神様のことも、信じてはいなくて。 それに、昔のように笑わない。 いつもどこか諦めたような雰囲気を漂わせていて。 学校でも友達がおらず、孤立気味みたいで。 ……しかし、ある夜。 一太郎がふと気配を覚えて目覚めると、八千代がまるで別人のような雰囲気で自分に覆い被さり、顔をのぞき込んできていて。 「本当は、自分も……」 小さな大和撫子が秘めた想いと悩み。そして、あこがれ。 自分だけに聞かせてくれたんなら、汲んであげなきゃいけない。 そうですよね、神様! 「うむ!」 ……え?


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