

相同世界观

#527
人助けが趣味な優しいさとり鬼――若彦(わかひこ)は某日、妙な噂を耳にする。 それは妖怪の暮らす世界、タソガレで人々の邪気が集まる里があるという話。 もしかすると、人の子が迷いこんでいるのかもしれない――。 様子を見に行こうと噂の里を訪れる若彦だったが、強烈な邪気にあてられ気を失ってしまう。 数刻後……見慣れぬ屋敷の中で目を覚ました若彦は、とある違和感を覚えた。 「わ、わしの身体が……女子(おなご)のようになってしもうた……!」 ――そう、若彦が侵入したのは『あやかし幻楼』。 妖怪遊女との情交を求め、男達が日々通う遊里――。 人間の煩悩によって姿形を変える若彦は、 遊郭に蓄積した邪気によって女になってしまったのだ。 「百人分の邪気を集めれば、元に戻ることが出来る――」 幻楼の楼主からそんな話を聞いた若彦は、遊女として働くことを決意する。 男の子(おのこ)から女の子(めのこ)へ、そして遊女へ。 果たして若彦は元の身体に戻ることが出来るのだろうか――。

#526
飯田修は盲目の青年だった。 彼は日本一周旅行の最中、迷いこんだ山の中で運命的な出会いをする。 「わっちを前にして眼を開かぬとはなんたるフソンか」 ふと少女の声がして――まぶたにぽたり、滴が弾ける感触。 するとなんと、真っ暗だった修の視界がみるみる色づいていくではないか。 「にはは♪ 悪い気はせぬなぁ、きさまの初めて見た者がわっちとは」 「わっちの高貴なる姿、目に焼きつけるがよい――♪」 ……それから数年。 修は文献を漁った結果、彼女が『アマビエ』という妖怪であろうことを突き止める。 もう一度彼女に会い、礼を言いたい――。 修はその思いから『彼女に会ったことがある』という男に話を聞くことにする。 「なぁ兄さん。妖怪とまぐわうことが出来る場所があるって言ったら信じるかい――?」
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