相同世界观

#39
「ねえ、蒼空」 「送り人って、魂人にとっての保健の先生なのかもしれないわね」 風見蒼空は、麦わら帽子を首に下げ、いつもシャボン玉を吹いている少女、シロバナと一緒に魂人(たまびと)を送るための旅を続けている。 魂人とは俗に言う幽霊のことであり、蒼空のような魂人を送る者たちのことを、一部の間で送り人(おくりびと)と呼んでいる。 蒼空には目的があった。 それは、過去に命を落として魂人となり、今は行方不明となっている姉を探し出すこと。 親代わりに育ててくれた最愛の姉を、自らの手で幸せに送り還すことだった。 そして、この春。 蒼空とシロバナは、旅の途中で彩香町(さいかちょう)を訪れる。 タンポポ畑と天然温泉を観光資源としている、のどかな田舎町。 この町には多くの魂人が集っているのだと、知人から教えてもらった。 その魂人の中に、もしかしたら姉がいるかもしれない。 蒼空は温泉宿に泊まりながら、滞在費を稼ぐために送り人の技術を活かし、知人が学園長を務めている彩香女子学園(さいかじょしがくえん)で臨時の養護教諭として働くことになる。 保健室の先生として、女学生たちと触れあいながら。 カウンセリングの一環として、親身に悩みを聞きながら。 蒼空は、相棒のシロバナと共に、学園で起こる様々な事件を解決することになるのだった。 タンポポの花言葉は、真心の愛。 そして、別離————

#711
「私は、春を探していたのかもしれない」 「恋探しをしていたのかもしれないね」 風見蒼空は、当初の予定だった一学期を過ぎ、二学期を迎えても、彩香女子学園で保健室の先生を続けていた。 旅の相棒だったシロバナもまた、助手として勤めてはいるものの、ふたりはもう住まいである温泉宿——四季彩の里での同居は解消した。 姉を幸せに見送った蒼空は、今後は姉のためではなく、自分のための人生を歩むことになったのだ。 それを誰よりもわかっているシロバナは、自ら身を引き、蒼空を遠くから見守ることに決めた。 かつて、蒼空の姉である夢歌が、そうしたように。 秋は学園行事の季節であり、ラベンダー畑での校外学習や、姉妹校合同による学園祭が控えている。 せわしなく時間が過ぎる中で、ある日、学園七不思議に新たな噂が加わった。 それは、夜になると鬼が出るというもの。 その鬼の手で、学園の校庭が荒らされているらしい。 魂人の仕業と考えた蒼空は、送り人として鬼の噂を調べることになるのだった。 頼れる仕事仲間であり、飲み仲間でもある、校医のオトヒメと共に。 サクラの花言葉は、優れた美人。 そして、純潔————
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