前传

#394
舞台は、「お伽話症候群(フェアリーテイル・シンドローム)」の治療に特化した隔離病棟。通称「楽園」。 「フェアリーテイル・シンドローム」とは自らを童話の登場人物だと思い込む人格障害の一種であり、入院患者たちは一様に「聖書」である童話絵本を抱え、その教えに従って生活している。 主人公はそんな童話少女たちの楽園に、不意に紛れ込んでしまった記憶喪失の少年。何故この場所にいるのか、自分はどんな人物で何を成すべきだったのか、大事なことほどわからない。かりそめの役割を得ている少女たちがうらやましく思えるほどに、寄る辺ない。 そんな折、彼の部屋で発見したスケッチブックには、乱れた筆跡でこんなことが書かれていた。 ──少女たちの中にひとり、つみびとがいる。

#4707
夢破れて乾ききった心を持つ若き医者、イケノ。「楽園」という施設には馴染めず、好き勝手な夢を見ている患者にはついていけない。 そんな彼がある日受け持ったのは「オズの魔法使い」を聖書に持つドロシーだった。病弱な肉体と、「ドロシー」としての自覚との乖離に思い悩む彼女を見過ごせず、イケノは思わず「3人の従者」のふりをしてしまう。 その行動は消沈していたドロシーを元気づけたものの、結果的に彼女の妄想を加速させていき──



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